子供の頃、親に連れていってもらった大衆食堂の味は、今も記憶の片隅に残っています。
そのような味を求めて何軒かのお店を訪れましたが、やはり何か物足りなさを感じてしまいます。
これは自分の味覚が子供の頃よりも研ぎ澄まされてしまったのが原因なのだと思います。 

しかし・・・

八日市の萬善食堂の中華そばの味は、まさに子供の頃に美味しいと思った中華そばの味と完璧に同じ方向性であると同時に、その頃に感じた美味しさのレベルを超えていました。
まさか、このような中華そばと出会えるとは・・・

実はこのお店の存在は随分前から知っていましたが、日曜が定休のため訪れることが出来ませんでした。
どうしても行きたければ祝日や平日の夜に行くという手もあったのですが、評判の良いラーメン屋の新店とかではないので、そうまでして行こうとは思えなかったのです。
そのような状態で長い年月が流れ、本日初めて訪店しました。
お店の外観は見事なまでに「THE 昭和の食堂」です。
蝋細工のサンプルを見ているだけで目頭が熱くなりますね。
萬善外

萬善サンプル

店内にはテレビがありますが液晶なのでちょっと違和感あります。
萬善中

ちなみにこのお店はオムライスが有名なので、今回は中華そばとオムライスを注文しました。
オムライス中華そば

まず、このオムライスですが、卵が完璧です。
オムライス

何を以て完璧かと言いますと、まずオムライスと言えば大きく分けて二通りのスタイルがあると思います。
まず一つ目は卵を薄く焼いてケチャップライスを包むスタイル、二つ目はスクランブルエッグを乗せた「ふわトロオムライス」と言われるスタイルです。
萬善食堂のオムライスは一つ目の薄く焼くスタイルなのですが「ふわトロ感」が残っているのです。
これはかなりギリギリのところを見極めて調理されているということだと思います。
ケチャップライスはあっさりした味付けでしたが、肉がゴロゴロ入っていて食べごたえがありました。

続きまして中華そばですが、まず漂ってきた香りによって少年時代の記憶が頭の中に駆け巡りました。
肉はチャーシューではなく豚肉をスープと一緒に煮込んだもののようですが、私が子供の頃に親に連れて行ってもらった食堂の中華そばもこのような肉でした。
中華そば

驚いたのは麺とスープです。
まず麺ですが、見るまでは全く期待していませんでした。
大衆食堂にありがちな加水率高めの中細ストレート麺が、かなり柔らかめに茹でられているんだろうと思っていました。
ところがこの中華そばの麺は、かなり太い上に硬くも柔らかくもない絶妙な茹で加減でした。
太さは新福菜館の中華そばより少し太いくらいだと思います。
そしてスープは野菜の甘みが感じられる優しい味わいですが、コクもあり飽きさせません。
思えば子供の頃に食べた懐かしい食堂の中華そばは、一口目がマックスだったような気がしますが、こちらの中華そばは最後までマックスどころか、食べ進むうちに野菜や肉から出汁が染み出してますます美味しくなっていくのです。
このようなことを書くと大げさな奴だと思われそうですが、食べているうちに涙が出てしまいました。
おばちゃんの接客も温かくて良かったです。
2020年の年末に、本当に良いものを頂きました。
来年以降は祝日に何度か訪店し、定食やカレーも食べてみるつもりです。